Review
- 作品等へのレヴュー・コメント -
-
美術評論家 アートキュレーター・Francesca Callipari
イタリア・ローマの展覧会出展作品について
2025.6.21
以下、日本語訳
Mikiko Omori -現実と夢の架け橋となるアート
大森みき子は軽やかな視覚表現と深い感情表現を見事に融合させる類まれな才能で、人々を驚かせ魅了するアーティストです。
広告業界で長年にわたって積み重ねたキャリアが、彼女に鋭い構成力と、イメージが持つコミュニケーションの力に対する深い洞察をもたらしました。絵画という表現手段において、彼女の声は完全な表現を見つけ、その作品は誠実で個性的でありながら、ひと目で彼女のものであるとわかる独自性を備えています。
機械的で過剰にコンセプト重視の美学とは一線を画し、大森みき子の絵画は、ただ「鑑賞される」ものではなく、「感情で体験する」ものです。
そこに広がるのは、空間的にも感覚的にも浮遊した自律的な世界。想像力が本来の力を取り戻し、子ども時代が現在を解釈するための象徴的なレンズとなります。
パステルカラー、柔らかな線、象徴的なキャラクターから成る彼女のビジュアル・ユニバースは、静謐でありながら力強く私たちに語りかけ、日常の喧騒の中で忘れられがちな、内面の輝きと親密さを思い出させてくれます。
彼女の描く作品の構図は豊かで緻密にバランスが保たれており、愛らしいキャラクターたちや感情のこもったシンボルによって命を吹き込まれています。
中でも際立つのは、彼女の作品の多くに登場するテディベア「コンフェッティ Confetti」です。このテディベアは、喜び、魔法的な魅力、そして繊細さの静かな象徴となっています。
深い夜の青に包まれた『Confetti Merry Park』では、私たちは夢と記憶の間に漂う遊園地にいるような気分になります。心地よい月と輝く星々に見守られ、子供時代の解放感に溢れた感情が湧き起こります。
対照的に『月夜のコンフェッテリア』では、より柔らかく親密なトーンが広がり、幻想的なピンクの光に包まれた空間が、まるでおとぎ話のような瞑想的な雰囲気を醸し出し、静けさと内省を優しく誘います。
大森みき子のアートは、過剰なまでに人を魅了するのではなく、繊細に心を揺さぶり、叫ぶのではなくささやくように、押し付けるのではなく優しく触れるようにそっと触れ、ささやき、導くように語ります。
これらは単なる装飾ではなく、魂に語りかけ、安らぎと美しさを与える視覚的な物語なのです。
そこには、日本的な美意識と、感情・色彩・夢という普遍的な言語が美しく調和しています。
ここでは優しさが逆風を生む力となり、真の想像力は、誠実に育まれることで詩的なレジスタンスとして形を得るのです。
美術評論家 アートキュレーター
フランチェスカ・カリパリ
Francesca Callipari Instagram https://www.instagram.com/fcartcurator/
-
一般社団法人 芸術共和国 JAPAN ART REPUBLIC 代表理事 清水雅様
The Selected 18 -100人のARTノートから生まれた原画展出展作品について
2025.6.6
以下、清水様コメント(Instagramより)
ギャラリー同潤館でお会いした大森みき子様です。
"可愛さを重視した作品は、特にイラストの世界ではメインストリームであることに異存はないと思います。アート界全体はあまりに多様ではありますが、可愛さの追求は、特に日本の女性アーティストのアイデンティティーとなっている側面はあります。現在もこれから先も、日本の現代アートを支える路線であり続けることでしょう。
2点の展示作のうち「Confetti Merry Park」は複製にリタッチを施したものですが、元になった作品は、ラブリーでドリーミーな魔法に彩られた夜の遊園地。人間はおらず、ぬいぐるみの動物たちだけのロマンティックな世界です。
最も手が込んでおり、制作に時間をかけたことが伺えるのは左下のカルーゼルですが、ともすれば建築構造的な正確さが要求されてしまうところを手描きならではの味を生かしており、とりわけ天井の装飾とライトが夢想感と没入感を高めています。
本作は優れた構図にあり、複数の要素がバランスよく見事に配置され、対立することなく存在しています。それぞれの乗り物のサイズに対する動物たちのサイズも秀逸で、デザイン構成として、「比率の美学」が構築されています。
星と月も本作のイメージを決定づけるデザインで、縫い目のあるクマもオリジナリティーの高いキャラクターですが、展示された実物を拝見して驚いたのは、リタッチとして加えられたワイヤーのような立体感を生んでいるゴールドの縁取りです。画像ではわかりにくいかも知れませんが、拡大してご覧ください。
もう1作の「アイガイッパイ」は、ロマンティックな遊園地とはうって変わり、愛のエナジーを放つ陽気な太陽。どのような場所にも明るい光を届けるポジティヴな作品です。
一見ランダムに配置されているように見えるハートの数々は、やはり「比率と配置の美学」が適用されており、デザインセンスの確かさが伺えます。
こちらでは、ワイヤーのようなラインは最小限に抑えられており、その点も効果的です。
一般社団法人 芸術共和国 JAPAN ART REPUBLIC ホームページ https://japanartrepublic.com/




